矯正治療で一般に広く用いられるワイヤー矯正は、一度装置を装着すると、基本的には治療が終るまで装置を外すことができません。 そのため治療中は食事の際に「ものが食べづらい」「食べ物が詰まりやすい」といったお悩みも多く聞かれます。 インビザライン矯正は透明のマウスピースの着脱を繰り返しながら歯並びを整える治療法で、装置(マウスピース)を患者様自身の手で外すことができます。 そのため食事の際にマウスピースを外せば、治療前と同じように食事を楽しむことができる点が、インビザライン矯正のメリットの1つです。 では反対に、マウスピースを着けたままの食事は可能なのか、またそのほかにインビザライン矯正中の食事で気をつけるべき点などを以下に詳しくみていきましょう。 インビザラインを装着したままの食事はNG 食事の時に外せるインビザラインでも、シチュエーションによってはマウスピースを外しにくかったり、外すのが面倒だったりすることもあるでしょう。 しかしインビザライン矯正中の食事に関しては、必ずマウスピースを外しておこなうようにしてください。 これはマウスピースを着けたまま食事をすると、歯と装置のすき間に食べかすが入り込み、それが虫歯や歯周病、歯の着色の原因になってしまうためです。 またマウスピースは非常に薄いため、装着したまま食事をしてしまうと、食べ物を噛んだ時にマウスピースが変形、もしくは破損してしまうおそれもあります。 したがって治療中は必ずマウスピースを外してから食事をはじめましょう。 『飲み物』もインビザラインを外して飲む インビザライン矯正中は飲み物も、マウスピースを外して飲むのが原則です。 マウスピースを装着したまま飲めるのは、お水(ミネラルウォーター)のみで、それ以外の飲み物は食べ物と同様に、虫歯や歯周病などの原因になります。 食事後は歯磨きをしてインビザラインを装着する 食事が終わったら、マウスピースを再装着する前に歯をしっかり磨いておくことも大切です。 歯に食べかすが付いたままマウスピースを装着してしまうと、マウスピース内に細菌が増殖し、虫歯や歯周病などを発症しやすくなります。 もしどうしても歯が磨けない場合は、マウスウォッシュを活用するなど、できるだけ口内を清潔にしてから装着し、後で時間がある時にしっかり歯を磨きましょう。 インビザライン矯正中に食事制限はある? インビザライン矯正では基本的に食事の制限などはありませんが、ただ治療で歯が動いてる最中は硬いものを噛むと痛みを感じやすくなります。 とくに新しいマウスピースに交換してすぐの時期は、お煎餅やお肉など硬いものを噛むと痛みを強く感じることもあるため、その期間はできるだけ硬いものは控えましょう。 以上のように治療期間中はすこし不便に感じることも多いでしょうが、トラブルなく治療を進めるうえでは大切なことですので、上記のことはぜひ守るようにしてください。
『出っ歯』は上の前歯が下の前歯よりも前に突き出している歯並びで、専門的には『上顎前突』といい、不正咬合の1つに挙げられます。 出っ歯は口元の”見た目”に支障をきたしやすく、「出っ歯が気になって、人前で口を開けられない」というお悩みから矯正治療を希望される方も少なくありません。 そこで今回は、出っ歯を矯正治療で治す場合、インビザライン矯正は適用できるかどうかについてお話ししていきたいと思います。 インビザラインは「出っ歯」の治療も可能 まず、出っ歯を矯正治療で治したい場合にインビザライン矯正が可能かどうかという点についてですが、基本的にはインビザラインでも出っ歯は治せます。 インビザラインが誕生した当初は「出っ歯の治療は難しい」とされていましたが、近年はインビザライン矯正の技術も進歩し、出っ歯の治療にも適用できるようになってきています。 ただし、出っ歯には①歯並びに問題があるケースと、②骨格的(顎の大きさ)に問題があるケースの2パターンがあり、②のケースではインビザラインの治療が適用できません。 歯を抜かずにインビザラインで出っ歯を治せる? 「出っ歯を治す」というのは”前方にある前歯を後ろに引っ込める”ということですから、奥にそのためのスペース(すき間)がある程度必要になります。 比較的症状の軽い出っ歯であれば、歯の両側を少し削ることでそのスペースを作ることができますが、症状が重い場合は抜歯によってそのスペースを確保するしか方法がありません。 ただいずれのケースでも、基本的にはインビザラインによる歯列矯正はおこなえます。 一方でインビザラインは歯の移動量が大きくなるケースには不向きであるため、前歯を大きく動かす必要のある場合は、他の治療法(ワイヤー矯正)を検討することもあります。 インビザライン矯正で「出っ歯」になるって本当? インターネットなどでインビザラインについて調べてみると「インビザライン矯正で”出っ歯”になった」という話を目にすることがあります。 実はこれはインビザラインに限らず、矯正治療では事前の検査や診断が不十分のまま、無理に治療をおこなった場合によくあるケースなので注意が必要です。 インビザラインは「装置が目立たない」というメリットから近年は人気が高まるで、その人気にあやかって安易に治療を勧める歯科医院も増えています。 しかしインビザライン矯正はまだ誕生してまもない治療法ですので、治療に際しては歯科医にもより専門的な知識が技術が必要であることも知っておきましょう。 プルチーノ歯科・矯正歯科は、インビザラインにおける矯正治療実績が評価され、「インビザライン・ダイヤモンド・プロバイダー」に認定されております。 ご興味のある方は、お気軽に当院までご相談ください。
インビザライン矯正では、患者様の最初の歯並びからゴールに至るまでの歯の動きをシミュレーションし、それを元に複数枚のマウスピース(アライナー)を作製します。 マウスピースが手元に届いたら患者様には歯科医の指導の下、指定された時期に新しいマウスピースに交換していただきます。 簡単に言うと「マウスピースを装着する⇒歯が動く⇒新しいマウスピースと交換する」という流れとなり、マウスピースを交換するごとに理想的な歯並びへと近づいていくわけです。 ではその交換時期はどのタイミングなのか、またその時期を早めるポイントなどをご紹介していきましょう。 インビザラインの交換時期はどうやって決まる? インビザライン矯正において、新しいマウスピースに交換する時期は、おおむね1~2週間ごととなります。 何日ごとに交換するかについては個々の患者様によって異なり、一律に「〇日」という決め方ができません。 たとえば年齢が若い人は歯が動くスピードも速いため、新しいマウスピースに交換するまでの間隔も短くなります。 また歯に複雑な動きが必要なケース(治療が難しいケース)だと、歯が動くのに時間がかかり、交換までの間隔が長くなることもあります。 ただ歯の動き方は実際に治療をはじめてみないとわからないことも多いため、患者様の歯の動きに応じて歯科医が適切な時期を決定していきます。 インビザラインの交換時期を早めるポイントとは? インビザラインの交換時期を早める一番のポイントは、マウスピースの装着時間をきちんと守ることです。 歯はそれが動くのに適切な力(至適矯正力)を持続的に加えておかないと、スムーズに動かすことができません。 一方でインビザラインはマウスピースを装着している時にその力が加わりますが、外してしまうとその力がかからなくなり、元の位置へと戻ろうとします。 つまり1日当たりの装着時間が短かったり、外している日数が長くなったりすると歯が予定通りに動かず、次のマウスピースの交換までの間隔も長くなってしまうわけです。 そして当然ながら、マウスピースの交換の間隔が長くなれば、治療が終るまでの期間も長くなってしまいます したがってインビザライン矯正をはじめたら、1日の装着時間(20時間以上)を必ず守るようにしましょう。 インビザラインの交換時期、勝手に早めてもいい? インビザラインの交換時期が早くなれば、その分だけ治療期間も短くなることは確かですが、だからといって自己判断で交換時期を早めるのはNGです。 先にも述べたように、歯を動かすにはそれ相応の適切な力が決まっており、それより強い力を加えたからといって歯が速く動くわけではありません。 歯がまだ十分に動ききれていないのに新しいマウスピースを装着すれば、かえって治療を遅らせてしまう要因になってしまいます。 インビザライン矯正をできるだけ早く、スムーズに進めるためには1日の装着時間を守ることにくわえ、歯科医の指示にしたがって交換時期を守ることも重要です。 もし何かの都合で装着や交換を指示どおりにおこなえない場合では、必ずその旨を担当歯科医師に伝えましょう。
インビザライン矯正では治療の過程で「アタッチメント」という装置を歯の表面に付与することがあります。 今回はインビザライン矯正におけるアタッチメントの役割や付与した際の注意点などをお話ししていきます。 インビザラインの「アタッチメント」とは アタッチメントとは、インビザライン矯正において歯の表面に装着する補助装置です。 「装置」といってもそれほど大げさなものではなく、歯の表面にプラスチック製の小さな突起を取り付けるだけと、いたってシンプルです。 アタッチメントに使用されるのは歯の詰め物にも使用される「コンポジットレジン」という素材で、歯と同色なので歯につけても目立つ心配はありません。 また治療が終った際には、簡単に取り外せるようになっています。 インビザライン矯正におけるアタッチメントの効果 インビザライン矯正におけるアタッチメントの効果は主に2つあります。 まず1つは、マウスピースが外れにくくなる効果です。 アタッチメントを付与すると、マウスピースのくぼみにアタッチメントがはまることで、マウスピースの維持力がUPします。 これによりマウスピースの”浮き”や”ズレ”を防ぎ、マウスピースの効果をより高めることができます。 次に2つ目の効果ですが、アタッチメントを付与すると歯根(歯の根っこ)に力を効率よく加えられるようになります。 インビザラインで使用するマウスピースは基本的に歯冠部(表面に見える部分)しか覆わないため、そのままの状態ではうまく歯根へ力が伝わらないことも少なくありません。 このような場合にアタッチメントを付与すると、歯を押しだしたり、引っ込めたり、回転したりする力が歯根に加えやすくなります。 そうすると歯の動きもスピーディーになり、その結果、治療期間を短縮させることができます。 アタッチメントを付与した際の注意点 アタッチメントは「マウスピースが外れにくくなる」という点がメリットである一方で、このメリットが患者様にとって「外しにくい」というデメリットにもなります。 無理に外すと歯や歯ぐきを傷めたり、マウスピースが破損したりするおそれがあるため、歯科医院で必ず”着脱のコツ”を教えてもらいましょう。 またアタッチメントは簡単に外せる構造になっているため、まだ治療中にもかかわらず、何かの拍子にポロッと取れてしまうこともあります。 治療にすぐ支障がでるわけではありませんが、そのままの状態を長く放置すると、治療計画通りに進まなくなるため注意が必要です。 アタッチメントが取れた場合は、早めに歯科医院に連絡して再装着してもらいましょう。
インビザラインでは治療用のアライナー(マウスピース)で歯並びが整ったあと、次に一定の期間「リテーナー」を装着し、歯並びが安定するのを待ちます。 ここではインビザラインのリテーナーについて、その目的や装着する期間などについて解説していきます。 インビザラインの「リテーナー」とは リテーナーとは、矯正治療でキレイに並んだ歯並びを安定させるために装着する装置のことです。 「保定(ほてい)装置」とも呼ばれ、インビザラインに限らず、矯正治療では必ずこのリテーナーを装着する『保定期間』が設けられています。 リテーナーには様々な種類がありますが、基本的にはどれも自分で取り外すことが可能です。 プルチーノ歯科・矯正歯科ではインビザラインの保定装置に『ビベラリテーナー』という装置を使用しています(症例によっては他のリテーナーを使用)。 ビベラリテーナーもインビザラインの治療に用いるのと同様の透明のマウスピース型タイプなので、装着しても目立つことはありません。 インビザラインにおけるリテーナーの期間 当院でおこなうインビザライン治療では、基本的に歯並びを治すのにかかかったのと同程度の保定期間を設けています。 たとえばインビザラインで歯並びを治すのに2年かかった場合、その後のプラス2年を保定期間とします。 保定期間中も基本的には1日を通してリテーナーを装着していただくことになりますが、一定の期間が過ぎたあとは「就寝時のみ」の装着にしていきます。 また装着する間隔も「毎日」から「1日おき」「2日おき」と、お口の状態にあわせて徐々に間隔を伸ばしていきます。 リテーナーを正しく着けないとどうなる? なぜ治療後に保定期間を設けるかといえば、治療直後は見た目のうえで歯並びがキレイになっていても、実際にはそれを支える骨がまだ完全には固まっていないためです。 つまり保定期間とは『歯を支える骨をしっかり固めて、歯が再び動かないようにするために必要な期間』なのです。 もし骨がまだ固まってない状態でリテーナーを外してしまえば、歯が再び動き出し、せっかくキレイに並んだ歯並びが崩れてしまいます。 矯正治療では治療後しばらくして歯並びが元に戻ったり、治療直後よりも歯並びが悪くなる”後戻り”を起こすことがありますが、その原因の1つが「リテーナーの装着不足」です。 したがって、せっかく美しくなった歯並びを長く維持するためにも、リテーナーの装着は歯科医の指示通りに正しくおこなうことをおすすめします。