
「乳歯はどうせ抜けるから、虫歯は放置しても大丈夫」と考えていませんか? 乳歯の虫歯を甘く見ていると、後から生えてくる永久歯の形や色が変わったり、将来の歯並びが悪くなったりする可能性があります。 この記事では、プルチーノ歯科・矯正歯科 名古屋院が乳歯の虫歯治療が重要な理由と治療法について詳しく解説します。 お子さんの健やかな口内環境を守るために、正しい知識を身に付けましょう。
Contents
子どもの虫歯は何歳から?
お子さんが色々なものを食べられるようになる1~2歳くらいになると、虫歯のリスクも少しずつ上がってきます。 特に、上の前歯の表面や、歯と歯の間に虫歯ができやすいため、注意してください。 1歳を過ぎたら、毎日歯みがきをする習慣をつけ始めましょう。 甘いお菓子やジュースをあげる時間や量も、少し気にしてあげてください。 お子さんが1人ですみずみまで歯を磨くのは難しいため、保護者の方が最後にチェック&仕上げ磨きをしてあげるのが大切になります。
子どもの虫歯治療は何歳から?
お子さんが虫歯治療を始める時期は、成長によってさまざまです。 1つの目安として、多くの場合、4~5歳を迎える頃には、治療に必要な「歯科医師の話を聞く力」や「しばらく口を開けている持久力」が育ってくるため、治療を受け入れやすくなります。 早いお子さんでは、3歳頃から治療を開始できるケースもあります。
子どもの虫歯の特徴
子どもの虫歯の特徴は以下のとおりです。
- 虫歯の進行が早い
- 虫歯だと気が付きにくい
- 年齢によって、虫歯のできやすい場所は異なる
虫歯の進行が早い
乳歯は、永久歯に比べて、表面のエナメル質や中の象牙質が薄くて柔らかいのが特徴です。 そのため、1度虫歯になると進行が速く、気づいたときには大きく広がっている場合があります。
虫歯だと気が付きにくい
乳歯の虫歯は、永久歯の虫歯と違って、初期の段階では痛みを感じにくいのが特徴です。 子どもが「痛い」と言い出す頃には、虫歯が神経の近くまで進んでいる場合もあります。 「しみる」「食べかすが詰まる」といったサインを見逃さないようにしましょう。 また、永久歯の虫歯は茶色や黒色で比較的発見しやすいのに対し、乳歯の虫歯は初期に白っぽい色をしていることが多く、見た目だけでは見過ごされがちです。 気づきにくさが対応を遅らせる原因にもなるため、注意深く観察することが大切です。
年齢によって、虫歯のできやすい場所は異なる
子どもの歯は、成長と共に生え方や食べ物が変わるため、虫歯になりやすい「要注意スポット」も年齢によって変化します。 さまざまなものを食べ始める1歳半〜2歳頃に特に注意したいのは、上の前歯、特に歯と歯ぐきの境目あたりです。 まだ哺乳瓶を使っていたり、甘い飲み物を口にする機会があったり、歯みがきを嫌がったりすることが原因で、汚れがたまりやすいためです。 奥歯が生えてきて、しっかり噛めるようになる2〜3歳頃は、奥歯の噛む面にあるデコボコした溝が虫歯の危険ゾーンになります。 奥歯の噛む面にある溝は複雑な形をしているため、食べかすが残りやすく、歯ブラシだけではきれいに磨きにくいのが特徴です。 乳歯がすべて生えそろう3歳以降になると、歯と歯が隣り合っているすき間、特に奥歯同士の間にも虫歯ができやすくなります。 ここは歯ブラシの毛先が届きにくく、汚れがたまりがちな場所です。フロスを使ったケアも重要になってきます。 このように、お子さんの年齢や歯の生え具合によって、虫歯になりやすい場所は変わっていきます。 それぞれの時期の「要注意スポット」を意識して、歯みがきや仕上げ磨きの方法を工夫したり、定期的に歯科医院でプロのチェックを受けたりすることが、お子さんの大切な歯を虫歯から守る鍵となります。
子どもの虫歯は早期治療が重要です
乳歯のむし歯は、永久歯に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。 乳歯の下で、永久歯は少しずつ成長して生え変わる準備をしています。 乳歯が虫歯になると、生えてくる永久歯も虫歯になりやすいです。 乳歯の虫歯が進行して、歯の根に膿ができると、乳歯の下にある永久歯を溶かしてしまうこともあります。
乳歯の虫歯は歯並びにも影響を与えます
乳歯の虫歯は、歯並びにも影響を与える場合があります。 乳歯が虫歯になり、本来の生え変わりの時期よりも早く抜いてしまうと、すぐに永久歯は生えてきません。 永久歯が生えてくるまでに、周りの歯が少しずつ移動して、永久歯が生えるスペースが狭くなる恐れがあります。 その結果、将来の歯並びが悪くなるのです。 歯並びに関しては、小児矯正を行う方法もあります。 小児矯正を行うと、食べかすが残りにくくなり、歯ブラシが隅々まで届くことで、プラークを落としやすくなる効果も期待できます。
子どもの歯の治療方法
お子さんの虫歯治療は、進み具合によってアプローチが変わってきます。 ごく初期の虫歯なら、歯を強くするフッ素を塗ったり、奥歯の溝を埋めて虫歯を予防するシーラントといった処置で対応できることがあります。 虫歯がもう少し進んで、歯に穴が開き始めた段階(専門的にはC0〜C2と呼ばれます)になると、虫歯の部分を削り取って、詰め物で修復する治療が必要になります。 さらに虫歯が深くまで進行し、神経にまで達してしまった状態(C3〜C4)では、お子さんはもうズキズキとした強い痛みを感じていることがほとんどです。 こうなると、歯の神経(根っこ)の治療が必要となり、より大掛かりな処置になります。
子どもの虫歯の予防方法
乳歯は永久歯よりも虫歯になりやすく、進行も早いため、当院では「虫歯にならないための予防」に力を入れております。 歯質を強化する「フッ素塗布」と、虫歯になりやすい奥歯の溝を保護する「シーラント」という、2つの効果的な予防方法をご提供しています。
ご自宅でのケア
この投稿をInstagramで見る
歯ブラシの持ち方は、鉛筆持ちが基本です。 毛先が広がらない程度の軽い力で磨く練習をしましょう。 歯の噛む面や側面を磨く際は、歯ブラシを直角に当てて、1~2本ずつ磨けるよう小刻みに動かしましょう。 前歯の裏側などは、歯ブラシを縦に当てて、同様に小刻みに磨いてください。 できれば歯間ブラシやフロスも活用して、歯と歯の隙間のお手入れも心がけましょう。 まだ1人では上手に磨けないため、10歳ぐらいまでは、保護者の方が必ず仕上げ磨きを行うようにしてください。
フッ素塗布
フッ素塗布で、歯の表面のエナメル質にフッ素が取り込まれると、虫歯菌が出す酸に溶けにくい、虫歯に負けない強い歯になります。 特に、生えたての弱い歯に効果的です。 また、歯は、食事のたびに酸によってわずかに溶け(脱灰)、唾液の力で修復(再石灰化)を繰り返しています。 フッ素は、修復(再石灰化)の働きを助けてくれるので、ごく初期の虫歯であれば、進行を抑えたり、元に戻したりする効果が期待できます。 フッ素は、虫歯の原因となる虫歯菌が酸を作り出す働きを弱めるのにも効果的です。 歯が生え始めた生後6ヶ月頃から、歯科医院で定期的にフッ素を塗るのがおすすめです。 3ヶ月に1回程度の塗布が、効果を持続させる目安です。 市販の歯磨き粉にもフッ素は含まれていますが、歯科医院で使うフッ素は濃度が高く、より効果的に歯を強くできます。
シーラント
シーラントとは、奥歯の噛む面にある溝を、フッ素成分が配合された安全な歯科用樹脂(レジン)で予防的に埋める処置です。 奥歯の噛む面にある溝は、形状が複雑で汚れが溜まりやすく、歯ブラシも届きにくいため、虫歯になりやすい箇所です。 特に、生えたばかりの永久歯(第一大臼歯から第二大臼歯)は、歯質がまだ弱く、溝も深くて複雑なため、虫歯になりやすい状態にあります。 シーラントで奥歯の溝を物理的に塞ぐことで、食べかすや汚れの付着を防ぎ、虫歯を効果的に予防することが可能です。 使用する材料は虫歯治療時の詰め物と同じもので、人体への安全性も確認されています。 当院では、乳歯の奥歯が生えてくる3~4歳頃、永久歯の奥歯(6歳臼歯など)が生えてくる5~6歳頃に、シーラント処置を受けることをおすすめしています。 お子さんの歯の健康維持のために、ぜひご検討ください。
定期健診
定期的に歯科医院に通院し、歯石取りなどの専門的なクリーニングを受けましょう。 虫歯の有無を確認し、早期発見・早期治療を心がけることも大事です。
まとめ
「乳歯はいずれ抜けるから虫歯は放置しても大丈夫」という考えは大きな誤解です。 乳歯の虫歯は、永久歯に比べてエナメル質などが弱いため進行が早く、初期には痛みを感じにくいため発見が遅れがちです。 乳歯の虫歯を放置すると、後から生えてくる永久歯の質や形、色に悪影響を与える可能性があります。 虫歯菌を引き継いでしまったり、早期に抜けることで将来の歯並びが乱れる原因になる恐れもあります。 虫歯のできやすい場所は、1歳頃の上の前歯から始まり、奥歯が生える2歳頃には噛む面の溝、3歳以降は歯と歯の間へと、年齢によって変化します。 治療は、多くのお子さんが協力できるようになる4~5歳頃から可能になる場合が多いです。 進行度に応じて、フッ素塗布やシーラント、詰め物、神経治療などを行います。 しかし、最も重要なのは治療ではなく予防です。 毎日の丁寧な歯磨きと、10歳頃までの保護者による仕上げ磨きは欠かせません。 プルチーノ歯科・矯正歯科 名古屋院では、極力削らないように診療しています。定期的なフッ素塗布や、奥歯の溝を保護するシーラント、専門的なクリーニングと検診を行い、お子さんの歯の健康をサポートしています。 子どもの歯の健康についてお悩みの方は、当医院のスタッフにお気軽にご相談ください。予約も受付中です。お待ちしています。